CLINICSサミット2018を開催しました
メドレーの川田です。4/29(日)に、オンライン診療の最新動向についてお伝えするイベント「CLINICSサミット2018 〜今、オンライン診療にどう取り組むべきか〜」を開催しました。残念ながら日程が合わずお越しになれなかった方もいらっしゃいますので、当日の様子をレポートさせていただきます!
CLINICSサミットとは?
CLINICSサミットは、オンライン診療アプリ「CLINICS」を提供するメドレーが主催する、オンライン診療をテーマとしたイベントで、今回が2回目の開催です。
2018年4月の診療報酬改定で「オンライン診療料」などが新設され、厚生労働省から「オンライン診療の適切な実施に関する指針」が示されるなど、国としてルール整備の動きが進む中で、どのようにオンライン診療に取り組むべきかという相談を医療機関からいただくことが増えています。
こうした疑問にお答えすることはもちろん、医療機関の方同士で直接情報交換ができる場を提供し、今後のオンライン診療のあり方をみんなで考えていける機会になれば、と思いながら会を企画しました。
当日は三連休の中日にもかかわらず、全国各地から医師や医療関係者の方がご来場され、定員500人の会場はほぼいっぱいとなり、熱気に包まれました。
(開始時間には会場がいっぱいに!)
7人の先生が、リアルな診療現場での活用事例を紹介
当日のプログラムは以下。
-
開会の挨拶/豊田 剛一郎 (株式会社メドレー 代表取締役医師)
-
頭痛・生活習慣病診療におけるオンライン診療の現状と課題/大林 克巳 先生 (大林クリニック 院長)
-
小児神経専門領域における遠隔診療の重要性/星野 恭子 先生 (瀬川記念小児神経学クリニック 理事長)
-
『患者様と繋がる』医療システムの今後の展望/島 佑介(株式会社メドレー執行役員/医師)
-
小児プライマリケアにおけるオンライン診療の経験/黒木 春郎 先生 (外房こどもクリニック 院長)
-
SAS診療の歴史とその広がり:遠隔診療への展望/成井 浩司 先生 (国家公務員共済組合連合会・虎の門病院 睡眠呼吸器科 部長)
-
SAS(睡眠時無呼吸症候群)におけるオンライン診療の活用について/西澤 寛人 先生 (赤坂おだやかクリニック 総院長・理事長)
-
北海道にこそ求められる遠隔診療 〜新たな難聴医療をめざして〜/高野 賢一 先生 (札幌医科大学医学部 耳鼻咽喉科学講座 准教授)
-
閉会の挨拶/尾﨑 治夫 先生 (公益社団法人 東京都医師会 会長)
会が開始し、まずはメドレー代表取締役医師・豊田より、オンライン診療のこの1年間の動きを振り返らせていただきました。そしてそのあとは、実際に診療現場でCLINICSを利用してくださっている先生方が登場。
まずは、宇都宮の「大林クリニック」院長である大林先生が登場。ご自身の専門分野である頭痛外来を中心に、生活習慣病などの内科でも幅広くオンライン診療を活用されていらっしゃいます。
オンライン診療の話を聞いた当初は、患者さんが本当にこうした診療方法を求めているか懸念もあったという大林先生。しかし実際に始めてみると、興味を持ってくれる患者さんも増え、多くの方に活用いただけるようになったそうです。
こうした経験を元に、対面診療で信頼関係が構築された患者さんに勧めていることなど注意点も具体的に紹介してくださいました。
続いて登場された医療法人社団つばさ 理事長の大山先生は、痛風・高尿酸血症の治療におけるオンライン診療の活用事例を紹介してくださいました。高尿酸血症は治療の中断率がとても高いというデータを示しながら、こうした疾患の治療継続にオンライン診療は有効ではないかというお話をしてくださいました。
そして小児の発達障害、神経疾患を専門にされている「瀬川記念小児神経学クリニック」の星野先生からは、その専門性の高さが故に近くにかかれる医療機関がなく、遠方から通院していた患者さんの負担をオンライン診療により下げた事例をご紹介いただきました。通院負担の軽減はもちろん、先生ご自身の感想として「ご自宅でリラックスした状態の患者さんとコミュニケーションが取れることで、とても楽しくオンライン診療を実施している」ともお話されていました。
「CLINICSカルテ」の提供開始を発表
休憩をはさみ、 メドレー執行役員・島から、クラウド型で電子カルテ「CLINICSカルテ」の提供開始を発表させていただきました。
「CLINICSカルテ」は、単なる診療を記録するのみの電子カルテ機能に止まらず、医師と患者さんをつなぎ、より良い診療を支援をする存在を目指しています。そんな想いや将来の構想についても、この場でお話させていただきました。
こうした構想については、CTOの平山がブログにもまとめていますので、詳しくはこちらをどうぞ。
小児科やSAS、難聴治療における活用事例とは?
CLINICSのリリース初期から導入していただき、数多くのオンライン診療を行ってきた「外房こどもクリニック」院長の黒木先生からは、小児医療への活用についてご紹介いただきました。
半径数十キロ圏内に小児科専門医がいない「医療過疎地」と言える立地に開業した黒木先生のもとには、車で数十分の距離を移動してくる患者さんも沢山いらっしゃいます。また、車で数分の距離でも、忙しいお母さんにとっては定期的な通院が負担なこともあります。こうした患者さんやご家族にとって、非常に喜ばれる存在になっているとご紹介いただきました。
その後、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の領域についての事例を2人の先生にご紹介いただきました。
まずは「虎の門病院」の成井先生より、SASの現状について紹介がありました。
深夜バスやトラックの運転手の事故の原因としてSASがあげられたなど、注目されるようになった背景はもちろん、今回の診療報酬改定で「遠隔モニタリング加算」が新設されたことを受けて、今後のモニタリングも含めたオンライン診療の重要性についてご紹介いただきました。
その後、実際に「赤坂おだやかクリニック」など3医療機関を運営し、SASの治療を行っている西澤先生が、実際の診療現場で感じているメリットなどを具体的に紹介してくださいました。
最後に、札幌医科大学医学部の高野先生からは、難聴治療におけるオンライン診療の活用についてご紹介いただきました。現在は研究の枠組みでオンライン診療を活用されていますが、研究終了後もオンライン診療を継続的に提供することも見据えてCLINICSを採用されたという経緯などもお話くださいました。
適切なオンライン診療の普及に向けて
閉会の挨拶には、公益社団法人東京都医師会 会長の尾崎先生が登壇してくださいました。東京都医師会で実施したオンライン診療に関するアンケートでは、医師会員のうち9割近くの方が遠隔診療を知っていると回答したそうです。こうした結果を取り上げながら、「今後、オンライン診療やAIといった技術は医療の領域でも絶対に必要になるもの。だからこそ適切な普及を進める必要がある」などお話しくださいました。
この後の懇親会でも、オンライン診療を始めようか悩んでいる方、すでに始めており、今後の活用範囲の拡大について検討されている方など、様々な方が参加くださり、登壇者や弊社の社員と情報交換をされていました。
登壇された先生方には、オンライン診療のメリットはもちろん、実際にやってみて難しかった点や、課題に感じている点なども遠慮なくお話しくださいと事前にお願いしていました。実際の講演でも、実施する際の注意点や、診療報酬の対象範囲、処方せんの運用など、先生たちが感じていらっしゃる課題についても紹介いただきました。
こうしてざっくばらんにお話をいただいたことで、懇親会や休憩時間の議論も活発になったようです。
オンライン診療は、この2年で随分普及が進んだものの、まだ医療機関全体の数から見ると、普及率は数パーセントに止まります。また、一言でオンライン診療といっても、診療科や地域によってその活用方法は様々です。こうしてリアルな診療現場の様子をお伝えし、オンライン診療のあり方を議論する場を作ることで、適切な普及を少しでもサポートしていけたらと思っています。
もっと詳しくオンライン診療について知りたいという方は、こちらからご連絡ください!