MEDLEYオフィシャルブログ

株式会社メドレーのオフィシャルブログです。

MEDLEYが目指す医療のカタチ 〜医療従事者の方に伝えたいこと

医師のみなさん、一生懸命やっているのに患者さんが良くならないことに悔しさを感じたことがありませんか?

患者さんにどんなに状況を説明しても理解してもらえないという歯がゆさを感じたことがありませんか?

これは逆も真なりで、患者さんにも「なんで病状が良くならないんだろう」「説明を受けても状況がよく分からない」といった思いがあることでしょう。


はじめまして、MEDLEY事業部の園田唯と申します。

2016年4月から株式会社メドレーに参加するまでは、内科医として働いておりました。専門は呼吸器と感染症です。現在は、医師の背景を活かしながら、みなさんの生活に役立つ情報をオンライン病気事典「MEDLEY」で発信しています。

 私はやりがいを持って臨床の現場で働いてきましたし、患者さんと直接ふれあえる場が好きです。おそらく自分は臨床の現場にいるべき人間であるという自負もあります。それでも、この会社でやるべきことを感じたので入社しました。

ベンチャー企業にいる医者はあぶれ者なのだろう」「現場での人との関わりがうまくいかなくなって、ベンチャー企業に入ったのでは」といぶかしむ医師の方もいらっしゃるかもしれません。しかし臨床の現場から離れていても、メドレーという会社にいる医師には熱い思いがたくさんいて、医療従事者にも役立つサービスを作ろうと日々取り組んでいます。

 今回は、私が医療現場で感じた課題と、なぜそれを弊社を通じて解決できると考えたかをお話しするなかで、医療従事者にとってのMEDLEYの価値を少しでもお伝えできればと思います。 

医者という職業

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医師の職業倫理について書かれた、有名な「ヒポクラテスの誓い」に純粋で神聖な思いで医療に臨むべしという金言があります。

多くの医師は純粋で神聖な思いで医療に臨んでいますが、それにもかかわらず患者さんが良くならないことがあります。一生懸命であればあるほど無力感と悔しさは大きいものになるのですが、最善手を尽くしてもうまくいかないことがあるのが医療の世界です。それでも、良くなる確率を高められると信じて努力する原動力こそが、その純粋で神聖な思いだと自覚しています。

 現代社会には複雑な人の思いがあるため、病気が良くならない場面では軋轢(あつれき)が生じることもあります。

一生懸命やっているのに衝突が生まれるこの悲劇は、どうしたら回避できるのか?という命題にはいつも頭を悩まされます。どちらも間違ったことは言っていないことがほとんどなのですから。

多くの医者の現状

昨今「医師になるために国が多くのお金を使っているのだから、医師は患者のために尽くすべきだ。」という意見をよく聞きます。私個人の気持ちもこれとほぼ同じで、医師には社会や患者さんに貢献できる技量があるのに、貢献しないということは非常にもったいないと感じています。

とはいえ、患者さんのために尽くすということと病院で身を粉にして働くということはイコールではないと感じています。

私が医師として病院で働いていたころは、土日も朝から晩まで毎日病院で過ごしていました。患者さんに何かあったときに自分がいないと嫌だという思いがありましたし、患者さんに貢献できたときの喜びと達成感は非常に大きなものでした。身体的負担は決して小さいものではなかったですが、こうした思いがあったからこそ頑張れたと思います。

しかし、過労の生活を長期間続ければ、早晩力尽きるであろうことも感じていました。実際に、医療に対して熱い思いを持って働いていた仲間が、力尽きて辞めていく姿を何度も見ています。このような「きしんだ歯車」が今の医療現場を支えていることは事実で、彼らの努力と窮状を見て見ぬふりをしていても未来はないと感じています。

その一方で、病に冒されている患者さんの切実さも痛感しています。むしろそういった思いが伝わってくることが、頑張らなくてはという思いの原動力でした。目の前で苦しんでいる患者さんに何ができるのであろうかという気持ちがある限り、自分の努力で少しでも貢献したいと思うのです。

現在の医療の現場に思うこと

現場を見ていると、もちろん一部には医療に対して真摯でない医師がいることは真実と思いながらも、多くの医師は目の前の患者さんのためになりたいと一生懸命頑張っています。

それなのに、病気を治したいという切実な思いを持った患者さんと、医療に真摯に向き合っている医者に、どうして軋轢が生まれるのでしょうか?

◎うまくコミュニケーションできていない

コミュニケーションを上手に行うにはスキルが必要です。

しかし、たとえそれがあったとしても、医療の現場ではコミュニケーションがうまくいかないことがあります。その原因には、「話しあう時間が限られていること」と「話を理解し合うほど知識の土台がないこと」が挙げられます。

医療の現場では驚くほどアクシデントが起こります。医療機関にいる患者さんの体調が急に悪くなってしまうことも多く、1日の中で自分の決めたスケジュール通りに仕事ができたら本当にラッキーです。

病院で働く主な医者の仕事を挙げてみると、

  • 入院患者の診療
  • 外来患者の診療
  • 手術
  • 検査(例:胃カメラ、大腸カメラなど)
  • カンファレンス(診療方針決定ミーティングなど)
  • 書類作成

これに加えて、急に悪くなった患者の対応や自分の勉強や研究(論文や発表など)の準備などがありますので、気づいたらあっという間に夜になっているということも少なくありません。

医師にも患者さんときちんと話し合いたい思いはありますが、このスケジュールの合間を縫って話すしか方法がないため、多くの時間を取ることは非常に難しいです。

また、話し合おうにも土台となる知識が違うためうまくいかないこともあります。患者さんと話し合うために多くの医師は事前に要点や図を紙に書いて準備しますが、それでも全てを伝えることは難しいです。

多くのことを説明するとどうしても伝わりにくくなりますので、事前の知識の有り無しで話の進みやすさが違うことは私も経験するところでした。とはいえ、専門家でもない患者さんが正確な知識をもって話し合いに臨むことは容易ではありません。病気になった方に医学専門書を買って勉強してくださいというのもおかしな話ですよね。もっと簡単に知識が身につくことができれば良いのにと、みんなが思うことでしょう。

◎正確な知識が広まっていない

日本は良くも悪くも「お医者さんにお任せしましょう」という風潮があります。そうは言ったものの、お任せした結果がうまくいかなかった時に、患者さんが納得の出来ない思いを感じるのは自然なことと思います。

自分の身体のことでであれば、本当はしっかりと吟味したいことでしょう。ただ、医師より知識が乏しいので、自分が考えるよりは専門家に任せた方が確率が高いと思ったから、お任せしますとなるわけです。決して好き勝手してもらって構わないから「お任せします」と言ったわけではないでしょう。

この問題を根本的に解決するには、患者さんも正確な知識をつけることが必要です。

正確な知識をつけることで、自分にあったより良い治療法を医師と一緒に探すことができます。もちろん、どんなに優れた治療をしても良くならない病気はあります。しかし、医師や家族と共に考えた治療の結果であれば、良くならなかったとしても納得出来ない思いは少なくなることでしょう。

 とはいえ、正確な知識を身に付けるには1つ問題があります。

一昔と違って、ネット社会となった昨今では、書籍だけでなくサイトにも医療情報が多く存在するようになっています。しかし、残念がらそうしたサイトの内容は、不十分であったり、ともすれば嘘が書いてあるのが現状です。そうした医療系サイトを見るたびに、このサイトは本当に患者さんのためを思って作られているのだろうかという疑問が湧いてきます。こんな状況では、患者さんが正確な知識を選別して身につけることは容易でないのです。

MEDLEYで医師としてやるべきこと

最初の問いに戻ります。私はどうしてメドレーに入り、オンライン病気事典「MEDLEY」に携わっているのでしょう。 

MEDLEYには患者さんと医者の軋轢を解消するチカラがあると感じたというのが一番の理由です。

MEDLEYは1400以上の疾患や3万以上の医薬品、16万以上の医療機関の最新情報がまとまった医療サイトです。「患者さんに分かりやすく」「医学的に正確な」情報を発信することをポリシーとしています。

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これを実践できれば、患者さんのために非常に大きなメリットをもたらすことができますし、現場にいる医療者仲間たちの苦労も減ることでしょう。それを達成するべく、我々はエンジニアやディレクター、医師でチームを作って、どういった形で発信すれば良いのかを試行錯誤し続けながらも、多くの方に読んでもらえる情報発信の仕方」と「難しすぎずに理解されやすい情報内容」を心がけてサービスを磨き続けています。

こうした取り組みが評価されて、現在約500人の医師が編集に協力してくれているほか、患者さんへの説明時にMEDLEYの疾患ページを活用いただくケースも生まれています。また患者さんからも「欲しい情報がまとまっていて助かった」などの感想もいただくようになりました。

その一方で、医学的に正しい情報でなければならないという根幹があることも忘れてはなりません。正しくない情報を広めることほど害なものはないと思っています。正しい情報を発信するために、私の専門の呼吸器と感染症を中心に、今でも最新の医学情報に遅れないように勉強しています。

つい先日、「静がん感染症治療戦略」という本を前職の医師仲間と作りました。自分で読み返しても非常に良い本だと思いますし、医療の現場でどういった思考を行っているのかをうまく体現できていると思います。(もちろん私の力ではなく、この本の編集に関わった人たちの努力のお陰なのですが。)

これも私の目指す方向への1つの試みですが、こうした発信を行って医学的に正確な情報を世の中に示すことができればと思っています。 

 

こうして私はメドレーに入社し、オンライン病気事典の編集に携わることを決めました。弊社にいる医師は、世の中を良くするんだという意気込みを持った者ばかりです。そこも大きな魅力でした。

インターネットの普及している現代の医療が日進月歩に変化している中で、私たちはその流れにキャッチアップしながら最適解を探しています。簡単なことではありませんが、日々の努力が患者さんにとっても医療者にとっても良い社会を作ることに繋がると信じています。そのために多くの人と思いを共有して協力関係を築き上げれば、軋轢の少ない社会を見ることができると考えています。 

多くの医療者の方とともに動いていけたら、メドレーは更に大きな力を発揮できるはずです。もし私たちの思いに共感してくださる方がいらっしゃいましたら、弊社にご一報ください。

志を共にする未来の仲間を心よりお待ちしています。

 

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《執筆者紹介》園田 唯   医師 / 編集

1980年生まれ。東京大学医学部健康科学科で精神保健学を専修した後、千葉大学医学部へ。河北総合病院の初期研修で内科全般の研鑽を積み、日本赤十字社医療センターで呼吸器内科医として勤務。その後静岡がんセンター感染症科で感染症診療に従事。2016年よりメドレー参加。日本内科学会認定内科医、呼吸器学会専門医、ICD制度協議会認定インフェクションコントロールドクター。