MEDLEYオフィシャルブログ

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医師200人と遠隔診療の未来を考える「CLINICSサミット」を開催しました

CLINICS事業部 マーケティング/セールス統括責任者の田中 大介です。

12/4(日)に「CLINICSサミット〜共に考え、共に創る遠隔診療の未来」を東京ガーデンテラス紀尾井カンファレンスで開催しました。

 

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「遠隔診療」は新しい概念であるがゆえに、仮説や理想論など大上段の議論が語られる場は出始めているものの、地に足の着いた、具体的な活用事例や患者さんの声が聞ける場、というのは今まで全くありませんでした。

本イベントは、「遠隔診療について、綺麗事や仮説ではない、現場感のある具体的な事例をなるべく沢山ご紹介させていただきたい」という思いから、企画/実行させていただきました。 

おかげさまで当日は、定員の200人を上回る医師の方にご参加いただき、多くのポジティブなフィードバックをいただくことができました。導入医療機関様はもちろん、東京都医師会や遠隔医療学会など、さまざまな立場の方にもご登壇いただいたことで、リアルな「今」からマクロで見た「未来」までを1日で知る機会を作れたことが高い満足度につながったのではないかと思っています。

1日限りの開催でしたので、ご都合がつかないというお声も数多くいただきました。そこで、お越しになれなかった方にも少しでも雰囲気をお伝えできるよう、当日の様子をレポートさせていただきます。

 

全国各地から200人を超える医師が集結

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 オンライン診療アプリ「CLINICS(クリニクス)」リリース以来初めての大型イベントということもあり、「本当にお客様に集まっていただけるのか?」と、運営責任者としてはかなりハラハラしていましたが、9:30の開場時間から、大勢の医師にお集まりいただき、会場は超満員となりました。北は北海道、南は福岡と全国各地の医師の皆様にご参加いただきました。 

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代表取締役医師・豊田の挨拶を皮切りに、サミットはスタート。

2015年8月10日、厚生労働省からの事務連絡で遠隔診療が 「実質解禁」されてから、オンライン診療アプリ「CLINICS(クリニクス)」のリリース、そして全国約200の医療機関様に導入いただくに至るまでを振り返りました。 

遠隔診療という「新しい文化」をイベントに参加していただいた多くの皆様と一緒に作り上げていきたい、という豊田の熱い思いが語られました。

遠隔診療の普及に向けた論点は?

続いて、日本遠隔医療学会 遠隔診療モデル研究分科会の会長である加藤 浩晃 先生より、「遠隔診療とはそもそも何か」「遠隔診療に適している疾患にはどんなものがあるか」といった現在の状況、さらなる普及に向けた論点などをお話いただきました。

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「遠隔診療」の定義や現状を分かりやすくまとめてお話いただいたことで、参加者の方の基本的な知識も整理され、その後のお話が聞きやすくなったようです。

遠隔診療で、精神科における早期治療・重症科予防を支援したい

その後は、CLINICSを導入いただいている2つの医療機関様より、実際の診療事例のご紹介でした。

まずはCLINICSを全国で一番初めに導入いただいた「新六本木クリニック」の来田院長がご登壇。精神科や禁煙外来での診療に、遠隔診療を導入されています。

来田院長はもともと奈良県の大きな精神科クリニックの院長でしたが、引きこもりで外出が難しい方や、忙しくて治療を離脱してしまう方の医療へのアクセスをもっと良くしたいという思いから、オンラインでの診療にもともと興味を持っており、CLINICSの導入を決めたということです。

CLINICSのリリースと合わせて六本木で開院し、現在では遠隔診療の普及に向けて、学会での発表など様々な活動に取り組んでいらっしゃいます。

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 精神疾患の患者さんに、対面診療と遠隔診療を組み合わせた治療を実践された事例や、多くのビジネスパーソン禁煙外来を遠隔診療で行ったところ、対面診療よりも遠隔診療を取り入れた診療の方が通院継続率が高かったというご自身のレポートも発表され、「今後は疾患ごと遠隔診療の有益性や安全性を検証し、エビデンスを創出していきたい」など、今後の展開についてもお話いただきました。

医療過疎地域における、クリニックへのアクセス向上を目指す

続いて登場された「外房こどもクリニック」の黒木院長は、地域における小児プライマリ・ケアを実践されていらっしゃいます。千葉県いすみ市近隣に小児科医がない「医療過疎地域」です。こうした地域で小さいお子さんを抱え、度々来院されるご家族の負担を軽減するために、遠隔診療を導入いただきました。

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 発表では、遠隔診療で実際にどのような患者さんを診ているか、多様なケースをご紹介いただきました。「診察室でお会いする患者さんの様子と、やはり少し違う。それが楽しい」とし、「対面とオンラインでコミュニケーションがどう変わるか、研究テーマとしていきたい」と今後の展望についても述べていただきました。

導入を支えるスタッフ側のウラ話も

また、同クリニックの黒木事務長からは、導入を決めてから、実際に遠隔診療を実施するまでの、院内オペレーションの変遷についてもお話いただきました。スタッフの皆さんの導入時のITリテラシーをアンケート形式で紹介した後、事務側でどうやってフローを構築し運用してきたか、ハプニングなども交えつつお話いただきました。

「お子さんがスマホの画面をいたずらしてしまって、接続が切れてしまうことがあった」といった小児科ならではのハプニングや、「オンライン診療実施時の処方箋の扱い方」など、リアリティ溢れる内容に、参加者からのコメントでは「こんなに具体的な話を聞けると思わなかった、導入プロセスや運用のイメージが湧いた」との声もいただき大好評でした。

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専門医を求める遠方の患者さんのフォローにも利用

パネルディスカッションには、新潟県で美容皮膚科学・漢方医学・抗加齢医学を3本柱とした診療を行われている「野本真由美スキンケアクリニック」の野本院長、東京都の糖尿病専門クリニック「AGE牧田クリニック」の牧田院長も迎え、さまざまなテーマについて議論しました。
(みなさま、CLINICSを活用して遠隔診療に取り組まれている先生方です。)

 

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野本先生からは、

「今の非常識は10年後の常識になっている可能性が高い。だからこそ今から遠隔診療に取り組むことに意味があると思います。」

「私は決してITに長けた人間ではありませんが、オンライン診療は運用できる、ということを伝えに今日ここに来たんだと思っています。」

という思いのこもったエピソードをいただいたほか、牧田先生からは、

「治療をもとめ、遠方からお越しになる方もいる。こうした方のフォローにも使っている」

といった糖尿病専門医だからこその活用方法や、 

「遠隔診療に積極的に取り組むことで、新しいことにチャレンジしている医療機関で働きたい、というスタッフの採用に繋がった」

といった、意外なエピソードもご紹介頂きました。

 

締めのご挨拶は、東京都医師会副会長の近藤 太郎 先生。「診察室に患者さんが入ってきたときの表情や雰囲気なども遠隔診療でキャッチアップできれば」など今後に向けた課題を述べつつも「遠隔診療に大いに期待している」という言葉をいただきました。

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200人を超える医師に参加いただき、導入医療機関様、医師会、遠隔医療学会のみなさまにもご登壇いただき、テレビの取材も入りと、当初の想定を大きく超える盛り上がりを見せたCLINICSサミット。ご協力いただいたみなさま、本当にありがとうございました。ご参加いただいた皆様からは、

 

「正直、宣伝色の強いセミナーなのかと想像して参加しましたが、いい意味で予想外でした。」

といった声や、

「大変参考になりました。やはり生の声を聞くことができるというのが一番ですね。」 

という様な大変ありがたいコメントをいただけました。

「遠隔診療を広げていく」ということは「新しい文化を創る」ということです。

そして「新しい文化を創る」ためには綺麗事や理想論だけではなく、ときには泥臭い努力も必要となります。

もちろんサービスや運営はまだまだ改善させていかねばなりませんが、これだけの方に遠隔診療やCLINICSに期待を寄せていただけているということは、チーム全員の励みとなっています。

今後もこうしたイベントなどを通じて、より多くの方々が遠隔診療の未来を考え、実践するための機会を作っていきたいと思っています。