MEDLEYオフィシャルブログ

株式会社メドレーのオフィシャルブログです。

メドレーCTOとABEJA CROが描く、リアル産業×テクノロジーの未来とは

製造・小売業界は、医療業界同様に歴史が長く、かつ業務にアナログな慣習が多く残る業界です。こうした”リアル産業”の課題を、AIやデータ分析といった最新テクノロジーで解決することを目指しているベンチャー株式会社ABEJAさんです。

業界は違えど、テクノロジーで既存の仕組みを変えつつあるという共通項から、7/5水に両社でトークイベントを共催しました。エンジニアやテクノロジーの未来について盛り上がった当日の様子をお伝えします。

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イベントでは、メドレーからは取締役CTOの平山宗介が、ABEJAさんからは創業メンバーでCRO(最高研究責任者)の緒方貴紀さんが登壇し、1時間にわたりトークセッションを行いました。モデレータは、メドレー執行役員加藤恭輔が務めました。

リアル産業へのテクノロジー導入、難しかった点は?

(平山)医療業界は、そもそも病院にインターネットが通っていなかったり、faxでの情報やりとりが普通だったりと、ITリテラシーがまだまだ低い業界です。Web業界を渡り歩いてきた身からすると最初は驚きました笑。

(加藤)そういう業界って、スマホで診療ができる「オンライン診療」みたいな新しいものを導入したがるものですか?導入するまでのハードルが高い気もしますよね。

(平山)興味は持ってもらえますよ。でも導入するまでにかなりのフォローが必要になりますね。

(緒方)業種問わず、新しい技術の布教活動は大変ですね。AIって、1、2年前からはディープラーニングと言われ、その前は機械学習と言われ、と年々バズワードが変化してるので、その時々のワードをうまく使って説明することで、伝わりやすいようにしています。ようやく最近、インターネットに次ぐ「第四次産業革命」を実現する技術としてAIについての認識が作られてきて、良いタイミングになってきたと思っています。

こういう世界ってどこも職人がいるんですが、AIにより職人の仕事が奪われるのではないかという恐怖感があるようで、それが導入の壁となることもあります。本来はAIが仕事を効率化することで、人間はさらに次のことを考えられるようになるはずです。

(平山)医療の世界でも、AIが診断支援をすることで医師の仕事が奪われるのではという話を聞きますが、それは言い過ぎだと思います。医師もすべての診療科を網羅できるわけではないので、病院に専門外の患者さんが来た際に、AIを活用してより正しい判断を行うための支援を行う、などの使われ方はありえると考えています。

(緒方)人の生死に関わる分、医療は難しさもあると思いますが、正解があるところから攻めていくのが良さそうですよね。例えばCTスキャンくも膜下出血の診断支援などであれば、データがかなり蓄積されていますし。診断支援については、一つひとつの診断について医者の判断基準を紐解く必要がありそうです。

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特徴的な開発体制・データ分析手法は?

(緒方)会社自体がすごくフラットということでしょうか。うちは現時点ではマネジャーがいないんです。もちろんマネジメントの役割を持つ人はいるのですが、あくまでロールであって役職ではないので、立場としてはフラット。速い開発手法としてアジャイルが挙げられたりしますが、それよりも速い開発スピードを狙うには、お互いがフラットな方がいい。ABEJAでは、テクノロジストとアントレプレナーを兼ね備えた人である「テクノプレナー」を目指せとも言っています。本当なら全て一人でできるくらいの能力を持ち、でも早く進めるために仲間とロールを分けているという意識です。

(加藤)そういう組織では、マネジャーに何を求めてますか?

(緒方)プロダクトオーナーであれば数字責任を負い、メンバーはそれを遂行することに責任を持つという感じです。本当は全員マネジャーをやってみたら良いと思っていて笑。両方やってみたら、お互いがどういう点を意識してるのかがわかる。技術も職業も移り変わりが速い世の中ですし、ロールの入れ替わりも速くしていきたいですね。

(平山)ロールの入れ替わりを柔軟にするという話ですけど、ビジネスサイドはどの程度AIのアルゴリズムを理解する必要があるとお考えですか?

(緒方)もちろん専門家と同じレベルは難しいですが、お互いに基礎的な考え方などを理解する意識や、それを学ぶ場は必要だと思っています。実際にナレッジをシェアする場を社内に作っていますね。

(平山)メドレーは、プロダクトの最適化に責任を負う「プロダクトマネジャー」とビジネスとしての成長に責任を負う「事業部長」の2トップ体制でやっています。それぞれ重視する視点は違うので、それをフラットに議論することで最適な事業成長を実現していきたいなと。ABEJAさんがおっしゃる通り、大切なのは双方が相手のバックグラウンドを理解しておくことです。エンジニア側は診療報酬の点数の仕組みや法制度など、医療業界独特のルールを勉強してますし、事業側にもエンジニアやデザイナーの考え方を理解してもらう。そうしないと議論がかみ合わず、本当に最適なプロダクトづくりは目指せないですよね。

(加藤)エンジニアの中では役割は分けていますか?

(平山)フルスタックなエンジニアが多いですね。フルスタックが良いと思っているわけではないですが、メンバーにはプロダクト全体のデザインを考えて開発して欲しいと言っています。そうすると自然に対応する範囲も増えていくし、そうした職種横断は歓迎していますね。さまざまな経験を積んだベテランエンジニアが多くて、年齢層が比較的高めなのもうちの特徴です。

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(加藤)ABEJAさんは、データ分析専門の役割を持った人がいるんですか?

(緒方)うちは好奇心旺盛な人ばかりで笑、データ分析をやりたい人も多いので、場合によっては手を挙げてもらったりもしています。その上で、いまのレベルや本人の目標などを見てアサインしますね。誰もが社内のノウハウや知識を知ることができるように意識していて、研究結果なども共有しますし、デモdayなども設けています

リアル産業にテクノロジーで切り込む面白さ

(平山)医療は本当にテクノロジー活用が遅れているように思います。効率化のためのシステムを導入しようにも、現場が嫌がって進まないことも多い。ただその分、変化のインパクトは大きいですし、自分の子どもたちの未来を創っているんだというやりがいを感じます。自分自身はもともとソーシャルゲームなどを作っていたので、そうしたWebのエッセンスを医療に注入できるのも面白さの一つですね。

(加藤)昔は大企業でないと産業を動かせなかったものが、テクノロジーの発達を受けて、意外とベンチャーでも大きなインパクトを起こせるようになってきたと実感します。

(緒方)医療はテクノロジーが未開の地で、これからどんどん発展しそうですよね。ソースを忘れてしまったんですが、2000年以降に生まれた人の平均寿命は100歳を超えるとも聞いたことがあります。個人的には、自分で自分のデータをすべて取りたい。身体データだけじゃなくて脳波とか。それをもとに分析していきたいです。

AIってバズワードになっていますが、とても夢があるものだと思うんです。汎用人工知能のような実用段階に至っていない技術は置いておいて、今ある技術を考えても十分使い道がある。インターネットができて大きく世界が変わったように、人の生活はAIによって変わると思っています。もちろん何でもできるとは思いませんし、顧客にもそうは言わないようにしています。何をどう解決できるのか、を明確にして伝える必要がありますね。

(加藤)AIっていろいろで出来ると言われていますが、正しく理解するにはどうすればいいんでしょう。

(緒方)正直、AIをビジネスとして成功させている会社って世界でみてもあまりないんですよ。これは事業へのはめ方が良くないのかなと。ただ今後2〜3年で、AIのコストは指数関数的に落ちていくはずで、そこで大きく市場は拡大するはずです。今のうちにしっかり理解して必要なデータを蓄積しておけば、2〜3年後の拡大期に備えられると思っています。

リアル産業×テクノロジー、今後の可能性

(緒方)業界を変えていくのに、必ずしも最先端の技術が必要ではないと思うんです。ただ、ベースとなる技術のコモディティ化は今進んでいますし、それらを使って何をどう作るかを各社が考えられる時代になってきているのかなと思います。

今面白いと思っている技術は”生成”ですね。AIがレンブラントの"新作"を描いたということもありましたが、音楽などもAIが生成できるようになってくる。機械学習したものが何かを生成することに面白さを感じますよね。

(平山)医療でいくと、今後さまざまなプロダクトが普及することで、医療プロセスを効率化させたい。そうして医療従事者が時間を自由に使えるようになることで、本質的な医療現場の課題に注力できると思うんです。そういう世界を実現していきたいですね。

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こうしてトークは終了。その後は懇親会で、参加者と登壇者がともに技術や産業の未来について熱く話し合いました。

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