MEDLEYオフィシャルブログ

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前立腺がん詳細ページを公開 〜泌尿器科医・斎木の思い

日本では2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで亡くなっています。

しかしながら多くの人のがんに対する印象は「よくわからないもの」「できれば関わりたくない恐ろしいもの」というのが率直なところでしょう。がんをよく知ることは安心や心の支えにつながるものの、がんに関する情報提供は、まだまだ正確で詳しいものが少ないのが現状です。

そのような状況に立ち向かうべく、オンライン病気事典「MEDLEY」ではがん特集を開始しました。2016年11月の「肺がん特集ページ」に続き、今回は第2弾として泌尿器科医である私・斎木が中心となり前立腺がんのコンテンツを作成いたしました。

medley.life

第1弾の肺がんは「最も死亡者数が多いがん」ですが、第2弾である前立腺がんは、高齢化がすすむ日本において患者数が増加しているがんです。少しでも多くの方に病気について知っていただきたく、このブログでは前立腺がんとはどんな病気かを少し紹介します。

高齢化社会における前立腺がん

前立腺がんは、男性がかかるがんのなかで罹患者数(発症する人)が1位になると予測されているものです(死亡者数では肺がんが第1位)。前立腺がんは50歳を過ぎた頃から発見されはじめます。前立腺がんは高齢者に多く発見されることを特徴とするので、高齢化が進む日本では今後も患者さんの数が増えていくと考えられています。早期の前立腺がんは手術などで完治を目指すことができます。

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国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター「2016年のがん統計予測より)

ロボット手術が席巻する世界

ダヴィンチという手術に使用するロボットをご存知でしょうか?ロボットといっても人工知能が手術を行うわけではありません。ここでいうロボットは、医師が患者さんから離れた位置で手術を行えるように開発された手術器具のことです。もともとは負傷した兵士を遠隔地から治療する目的で開発されました。現在は、戦地ではなく一般診療での普及が進んでいるところです。日本では前立腺がん、腎がんの治療でロボットによる手術を保険診療で受けることができます

ロボット手術ではロボットが医師の手の動きを再現し臓器の摘出や縫合などを行います。

前立腺は体の奥底にあるために手術が難しい臓器の一つです。人間の手が入りづらい場所で、正確な操作が可能なロボット手術は前立腺がんの手術を進歩させたとも言われています。その普及は急速で、現在は日本で行われている前立腺がんの手術の3分の2がロボット手術です。

とはいえ、ロボット手術はまだまだ患者さんにとっては身近ではなく、不安を感じる方も多いでしょう。今回の特集ではロボット手術についても詳しくかつ臨床現場の医師からみた印象を取り入れて、治療のイメージが湧くように細かく解説しています

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前立腺がんは放置してもいい?

「がんは放置しておいても大丈夫」「がん治療は体に負担をかけるだけだ」などがん治療に対して否定的な意見があります。

前立腺がんはその代表例として語られることがあります。たしかに、前立腺がんの多くは進行が緩やかなために命に影響を及ぼさない場合があります。悪性度が低い場合にはすぐに治療を行わずに様子をみることは選択肢になりますが、全ての前立腺がんに当てはまるわけではありません。この限られた例を元にして全てのケースで治療が不要であるとする意見には疑問を抱かざるをえません。

病気と向き合い、納得できる治療を受ける支援をしたい

本でしか情報が得られなかった時代に比べて、現在は本当に便利な時代になりました。インターネットでは多くの情報を入手することがきます。がんであることが分かり不安な状況に置かれた人が、ついこうした都合の良い情報を信じたくなる気持ちはよく理解できます。しかし、その情報は本当に信頼できるものでしょうか?手にした情報は信頼できる出典元があるのかしっかり見極めることがまず大切です。

そして、時間がかかるかもしれませんが、自分の置かれた状況を受け止め立ち向かうことが重要だと思います。今回の特集が少しでもその助けになればと思い、あらゆる最新情報をまとめました

 

もちろん、一番大切なことは「ここを見れば正しい情報がある」と誰もが思える、信頼性や解釈が担保された医療情報サイトが存在することです。私達メドレーは実際に診断、治療を行ってきた医師を始めとする医療者が中心になって情報を作成しています。さらに誤りや偏った考えを避けるために社外の専門家から意見をいただき、再度審議を重ねた上で情報発信しています。

とはいえ、医療は日々進歩しており、情報の更新を怠っていては、患者さんの望みを叶えられないことも自覚しています。今後も常に更新を行いながら、患者さんに寄り添うことのできる情報発信を行っていきたいと思います。

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《執筆者紹介》斎木 寛   医師 / 編集

1982年生まれ。愛知医科大学卒業。愛知医科大学で初期研修修了。吉野川医療センター、静岡がんセンター、愛知医科大学泌尿器科医として勤務。泌尿器がん治療を中心に研鑽を重ねている。日本泌尿器科学会泌尿器科専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、da Vinci certificate取得。